交流の電力 |
自動車評論家で日本EVクラブ代表の舘内端氏が、2009年1月13日に独立行政法人経済産業研究所
BBLセミナーで「電気自動車の普及のさせ方」と題する講演を行っています。(http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/09011301.pdf)。
その資料5〜7頁に次のような記述があります。
5頁 | 6頁 | 7頁 |
a)家庭電源・車載充電器
100Vx15A=1.5kW 車載充電器容量 1.5kW
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b)工場電源・別置充電器
200Vx30A=6kW 車載充電器容量 6.0kW
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C)工場、大きなスーパー、カーディーラー
200Vx250A=50kW 車載充電器容量 50kW |
ここで疑問なのは、100V×15A=1.5kWというように、交流電力にも関わらず
電圧×電流=電力
としていることです。i MiEVの電池の定格電圧330Vなので100Vは家庭用交流電源の電圧に間違いありません。そして交流は、電圧×電流=電力にはなりません。交流の電圧と電流の変化がずれるからです。
また、当然のことながら、充電器容量の計算にあたっては、充電器そのものの電力損失も考慮する必要があります。
一方、三菱自動車の技術資料を見てみると、次の記述があります。
資料1 | 家庭用100V/200V充電器は車載しており、コンセント接続時に100V/200Vを自動的に判断し、100V15Aで11時間、200V15Aで5時間の充電で、SOC80%充電可能である。 http://www.mitsubishi-motors.co.jp/corporate/technology/report/pdf/technical_review_2007.pdf |
資料2 | 充電開始から家庭用200V充電は約6A・2kW、100V充電は約3A・1kWの定電力充電を行い、充電末期に定電圧充電に移行し、200V充電は約6時間、100V充電は約16時間で充電終了している。 http://www.mitsubishi-motors.co.jp/corporate/technology/report/pdf/technical_review_2008.pdf |
充電器の仕様が両資料対象車両で同じなら、資料1で100×15=1500が資料2で1kW(1000W)になっているので、充電器容量/(交流電圧×電流)=0.67となり、至極当然の数字になります。
舘内氏が交流電源について、単純に「電圧×電流=電力=充電器容量」とした理由として次のことが考えられます。
ケース1 交流電流の概念は素人には難しいので、素人に分りやすくするためにあえて単純にした。
ケース2 単なる無知による結果。
舘内氏は日本大学理工学部卒業、自動車評論家、日本EVクラブ代表ですから、ケース1と考えるのが妥当だと思います。
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