カーグラフィック誌での燃費の評価
Vitzの燃費でなくて申し訳ないが、カーグラフィック誌08-10号にメルセデス・ベンツE320 CDI AVANTGARDEとフォルクスワーゲン・ゴルフTSI の燃費を比較している。
メルセデス・ベンツ E320 CDI AVANTGARDE | 12.5km/L |
フォルクスワーゲン ゴルフTSI Trendline | 14.9km/L |
この結果について、
「軽油とハイオクの価格差があるという事情を考慮しても、図体のでかいE320の燃料費がゴルフTSIと同等であるということは刮目に値する」
というようなことが書いてある。つまり、記者はE320の燃費がよいことを言いたいようだ。
では、両車の諸元を示してみよう。
排気量cc | 出力 | 燃料 | 全幅mm | 全高mm | 車重kg | |
メルセデス・ベンツ E320 CDI AVANTGARDE | 2986 | 211PS/3400rpm | 軽油 | 1820 | 1465 | 1770 |
フォルクスワーゲン ゴルフTSI Trendline | 1389 | 122PS/5000rpm | ハイオク | 1760 | 1520 | 1389 |
空気抵抗は前面投影面積に比例するが、車体形状を無視し、全幅×全高に前面投影面積が比例すると仮定すると、両車の全幅×全高は、
E320が2.666m2、TSIが2.675m2
でほぼ同じである。
次に、車重は、TSIはドライバーの体重70kg、E320はドライバー+パッセンジャーの140kgとカメラ機材30kgを加えると、E320はTSIの
(1770+170)/(1389+70)=1.330倍
になる。
燃料のエネルギーは、空気抵抗、転がり抵抗、加速に消費されるが、
空気抵抗 車重に関係しない。
転がり抵抗 車重が大きいと抵抗も増大する(一般に車重に比例とされるが、実際は比例しない)。
加速 車重に比例して加速に必要なエネルギーが増大する。
したがって、走行条件にもよるが、
エンジンの熱効率が同じならば、TSIの燃費(質量ベース)はE320の1.1〜1.25倍程度になるはずである。
実際は、、TSIの燃費(質量ベース)はE320の
14.9×1.1/12.5=1.31倍
だった(軽油とガソリンの比重差(軽油の比重はガソリンの1割増し)を考慮)。したがって、走行時の平均エンジン熱効率は
1.31/(1.1〜1.25)=1.05〜1.19倍
TSIの方がE320より大きいということになる。もちろん、E320の排気量がTSIの2.15倍もあることが大きな要因ではあるが、一方でディーゼルエンジンの存在価値の大部分がガソリンエンジンより熱効率が高いことにあることを考慮するならば、TSIの燃費の良さこそ
刮目に値する。
と思う。いや簡単なことを言うのに「刮目」などというあまり使わない言葉で飾るのは私の趣味ではないので、「示される」と言っておこう。
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