「EVがガソリン車よりトラブル多い」って本当？

EVアンチが指摘する「ガソリン車よりトラブル多い」って本当？JAFの調査で分かった実情 (msn.com)

「2024年5月には月662件の出動要請があり、理由としてもっとも多かったのは「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」（242件、36.6％）だった。これだけを見ると「BEVはバッテリーを積んでいて重量があるからタイヤのトラブルが多いのだろう」と思われるかもしれないが、実はそうでもない。ガソリン車やハイブリッド車も含んだ4輪車全体の出動要請理由（2024年5月）を見てみると、「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」は一般道の22.3％、高速道路の41.6％を占めていた。タイヤのトラブルはEVに固有の不具合ではなく、あらゆる車種に共通するものだと言えそうだ。 」

　EV(電気自動車)と四輪車全体、それぞれの出動理由別の割合(％)を比較しているが、何の意味があるのか？　そもそもEVと四輪車の国内保有台数、JAF出動数が異なるのだから、互いの出動理由比率の比較は無意味である。
　また、「タイヤのトラブルはEVに固有の不具合ではなく、あらゆる車種に共通するもの」なのは小学生でも分ることであり、ジャーナリストがご高説を垂れるようなことではない。問題は台数当たり、走行距離当たり、可能ならば走行条件毎のトラブル発生数(JAF出動数)である。

　ここでは、2023年度のEV、その他の四輪車(三輪を含む、以下「他四輪」)のJAF出動理由別出動件数の国内保有台数比(％)を見てみる。

 JAF出動理由別件数と保有台数比(2023年度)

 　他4輪の内、乗用車の占める割合は82.15％なのに対して、EVでは乗用車の占める割合が98.39％と大きい(備考)。また、1台当たりの走行距離はおそらく他4輪の方が大きいだろう。このため単純比較は本来できないのだが、敢えて保有台数比について感想を言うなら次のとおり。

(1) 事故はEVが高い。市街地走行の比率が高いことによるのか？
(2) 過放電バッテリーはEVがやや高い。
(3) タイヤパンク・バーストは明らかにEVが高い。EVの定期点検が不足しがちなのか？　EVではガソリンスタンドでの空気圧点検が行われない結果か？ 他4輪ではパンク修理を搭乗者自ら行うことが多いのか？
(4) 落輪、落込はEVがやや高い。EVの市街地走行の比率が高い一方、不慣れな場所に行く比率が低いことで相殺されているのか？
(5) 燃料切れ(駆動用電池切れ)は明らかにEVが高い。EVの市街地走行の比率が高いとするなら、当然、EVの1日走行距離は少なく、駆動用電池切れの起き難さに繋がるはずだが、それでも他四輪の9.6倍の数字となった。
(6) その他は、他四輪であれば破損/劣化バッテリー、キー閉じ込み、発電機/充電回路、ハンドルロック・キー作動機構、スタータモータ等。「EVは構造的に簡単」と言われるが、故障は多いようだ。

  結論　EVの年間走行距離が少ないことを考慮するまでもなく、「EVはガソリン車よりトラブル多いは本当」である。
　　　　


備考　保有台数内訳(括弧内は構成比)　

   JAFの出動対象車は次のとおり。JAFのロードサービス対象車種 | JAF
　このため、他四輪については、貨物車の内の普通貨物車を、乗合車の内の普通車を、特種(殊)用途車の内の大型特殊車を除外した(車両登録上の区分)。JAF出動対象車も除外した車種に含まれるため、保有台数比が少し高めになっている。

出典
JAF出動理由
　EV　ロードサービス救援データ（2023年度：月別EV） | JAF
　四輪　2023_year_four.pdf (jaf.or.jp)
保有台数　
　EV　　04_HV_EV.pdf (airia.or.jp)
　四輪　hoyuudaisuusuii05.pdf (airia.or.jp)     r5c6pv0000013d1k.pdf (airia.or.jp)

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