プリウスとのCO2LCA比較  

 プリウスの燃費の良さは誰でも知っていますが、

●製造段階で通常のガソリン車よりエネルギーを要しているのではないか
●燃費の良さではそれを克服できないのではないか

と思う人は少なくないでしょう。そこで、トヨタのサイトに掲載されているヴィッツとプリウスの環境仕様書を使用し、両者のCO2排出量を比較してみました。 

ヴィッツの環境仕様 http://toyota.jp/vitz/ecology/ (以下のデータは2009年モデルチェンジ前のものです。)
プリウスの環境仕様 http://toyota.jp/prius/ecology/index.html (以下のデータは2代目のものです。)

 プリウスの、素材製造-車両製造-走行-メンテナンス-廃棄に至る過程で排出されるCO2に関するLCAでは、プリウスと同クラスガソリン車を指数1000として比較しています。これは自動車の生涯走行距離10万km(10年)を10・15モードで走行した結果です。プリウスの10・15モード燃費は仕様により35、33、30.5km/Lの3種類がありますが、誰でもデータを飾りたいので、おそらく35km/Lで計算していると考えました。

 一方、ヴィッツ1.0のCO2のLCAは同様な計算方法ですが、10・15モードは22km/Lとしました。さすがにインテリジェントパッケージ車の24.5km/Lで計算するような恥かしいことはしていないでしょう。

 さて、ヴィッツ1.0の比較対象は「2001年同クラストヨタ車平均」です。従ってプリウスとヴィッツを直接比較できませんが、走行中のCO2は10・15モードに反比例しているので、ヴィッツのCO2指数をプリウス同クラスガソリン車を対照するよう換算し、右図を作成しました。また、参考としてプリウスも10・15モード30km/Lに換算したものも記入しました。
 
図中の記号は
・比較G:プリウス同クラスガソリン車
・P35.5:プリウス(10・15モード燃費35.5km/L)
・P30:プリウス(10・15モード燃費30km/L)
・V:ヴィッツ1.0
縦軸はプリウス同クラスガソリン車を1000とする指数。

 これからするとヴィッツ1.0はプリウス35.5より僅かにCO2排出量が多いですがプリウス30より少ない。

 走行距離でどのようにCO2量が変わるか検討したのが右図です。走行距離0km時では本来、CO2量は製造に要したもののみですが、メンテナンス(10万km)と廃棄に要するCO2が全体に占める割合は小さく、ここでは計算の都合上、0km時に計上しています。

 プリウス同クラスガソリン車は0kmではCO2量は少ないですが、プリウス35.5には32700kmで、プリウス30には38200kmで追いつきます。
 しかし、プリウス35.5がヴィッツ1.0を下回るのは94000km、プリウス30では133700km時です。

 以上のことから、

私のような使用条件であれば、ヴィッツ1.0はプリウスより排出CO2が少ないことになります。

 自動車を通勤に使用しないか使用しても往復20km程度の自家用車所有者にとっても同じでしょう。しかし、トヨタの行ったLCAは10・15モード燃費によるもので、誰もが10・15モード以上の燃費で車の生涯を終えることが稀であることを知っています。そこで次は実燃費で比較してみます。

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