プリウスとのCO2LCA比較(2)  

 ヴィッツ1.0Fに乗り出して2年になります。これまでの通算燃費は17km/Lですが、余裕をみて16km/Lとします。製造・メンテ・廃棄に要するCO2は前頁と同様とすると、排気ガスのみが(22/16)倍に増加することになります。

 プリウスの実燃費が私の走行パターンでどの程度になるかわかりませんが、仮に22km/L、23.5km/Lとし、10万km走行時のCO2量を計算し右図を作成しました。

図中の記号は
・P23.5:プリウス(実燃費23.5km/L)
・P22:プリウス(実燃費22km/L)
・V16:ヴィッツ1.0(実燃費16km/L)
縦軸はプリウス同クラスガソリン車(10.15モード燃費で計算)を1000とする指数。

 図からわかるように私の走行パターンですと、10万km走行時のヴィッツ1.0Fに対抗するためには、プリウスで22km/L以上走らなければなりません。インターネット上でプリウスの実燃費を公開されている方のデータをみてもこの数字はいい数字です。

 このように実燃費で計算したとしても私のように大した走行距離でないのであれば、ヴィッツ1.0FはプリウスよりCO2排出量が少ないことになります。また、プリウスには貴重な資源をヴィッツより多く使うという弱点もあります。百歩譲ってプリウスによってCO2を削減することができたとしても、貴重な資源をより早く枯渇させていいのでしょうか。

補足

 様々な技術がCO2削減対策として登場しますが、専門家と称される人が科学の基本法則を理解しているのか疑問に思うことがあります。例えば

(1)水を電気分解し水素と酸素にするのに必要なエネルギー > 水素と酸素が結合するとき生まれるエネルギー

は、科学の素養がある人にとっては常識です。

  また、現在、天然ガス等を燃料としたガスタービン・廃熱ボイラー蒸気タービン複合サイクル発電の設置が進んでいます。

(2)ガスタービン・廃熱ボイラー蒸気タービン複合サイクルの発電効率は50%プラス

です。(1)、(2)から

 水素を得るために水を電気分解するなら、水素の熱エネルギーの倍以上の天然ガスエネルギーを消費

 することになります。ですから、水素エンジンが普及すればするほど天然ガスを浪費します。初めから天然ガス自動車を開発すべきなのです。よく水素自動車の課題が「水を電気分解するときのコスト」とされますが、これは論理のすり替えです。コストは削減できても「エネルギーの無駄遣い」という科学の法則に基づく本質的な問題点は絶対に解決できないのです。

「環境問題の解決策は普及しないことが問題」と言われますが「普及しないから問題点が明らかになっていない」ことも多いのです。

 注:将来的には天然ガス発電ではなく、太陽電池、風力発電の電気エネルギーを利用して水を電気分解すればよいと言われるかもしれませんが、太陽電池、風力発電の発電能力がどれほどのものなのでしょうか。また、太陽電池や風力発電は、これらの施設を設置し定期的な整備をするのに必要なエネルギーを回収できるのでしょうか。

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